【令和最新版】おすすめの「モノクロフィルム」をご紹介! in 2021

2022年5月22日

【約 30 分で読める記事です】

フィルム関連の記事を最近書いたので、
それを読んで「モノクロで撮ってみたい!」
と思った方もいるかもしれません
(いたらいいなぁ)。

というわけで、
今回は2021年現在でも入手が容易な
おすすめモノクロフィルムの紹介です!

モノクロフィルムについて理解

本題に入る前に、「モノクロフィルム」
についてちょっと解説しておきます。

モノクロフィルムとは、読んで字のごとく、
白と黒だけで画像を記録するフィルムです。
白黒フィルムとか、Black and White(B&W)
とか呼ぶこともあります。

カラーフィルムより前から使われているので、
モノクロで撮影するとなんとなく
古めかしい雰囲気になりますが、
色がなく、ものの「形」に注目させられるので
巧く表現に活かすことで
メッセージの強い写真を撮ることも可能です。

色が伝わらないことで
「全部を説明しない」写真を撮れるのが
個人的に好きなポイントです。

モノクロにして情報量を削ることで、木でできた小屋の存在感を強めています

背景が真っ黒、つまりです。
なにもないことにできる。
これがカラーだと背景も色があるので、
それが何なのか、つまり「もの」が伝わってしまいます。

モノクロフィルム一覧

では、現在販売されているものが
どれくらいあるのかを見てみましょう。

※このサイトを見る人の99%がおそらく使おうとしている
「35mmフィルム」を紹介しています。

Kodak

  • 400TX (Tri-X) [ISO 400]
  • Tmax 100 (TMX) [ISO 100]
  • Tmax 400 (TMY-2) [ISO 400]
  • Tmax P3200 (TMZ) [ISO 3200]

コダックからは現在4種類のモノクロフィルムが発売されています。
Tmaxと付いている3種類は「T粒子」という技術を採用した新しいタイプ、
400TX(Tri-X)のみ旧タイプのフィルムです。(後述)

富士フイルム

  • Neopan Acros II [ISO 100]

ジャパンブランドのモノクロフィルムは現在この1種類だけ。
製造国はUKです。残念ながらMade in Japanではない。
「T粒子」と同様の技術を使った新タイプのフィルムです。

Ilford

  • Pan F+ [ISO 50]
  • FP4+ [ISO 125]
  • HP5+ [ISO 400]
  • Delta 100 [ISO 100]
  • Delta 400 [ISO 400]
  • Delta 3200 [ISO 3200]
  • SFX 200 [ISO 200]
  • ORTHO+ [ISO 80]
  • XP2 super [ISO 400]

イルフォードはイギリス発のブランドで、
モノクロフィルムとモノクロ用印画紙を売っています。
各社ラインナップを縮小している中でこれだけ選べるのは本当にありがたい。
上から3つが旧タイプ、Deltaって付いている3つが新タイプの製品です。

赤外線にも感度を持っていて特殊な撮影に使える「SFX200」
カラーフィルムと同じ処理で現像できる「XP2 super」など、
個性的なフィルムが出ています。

Kentmere

  • Pan 100 [ISO 100]
  • Pan 400 [ISO 400]

実はイルフォードと同じところが作っている。廉価版みたいなもん。
実際安く買えるのでかしまさはこれを愛用しています。

富士フイルムの「Made in UK」って
多分ここだと思うんだよね……。

Fomapan

  • 100 classic [ISO 100]
  • 200 creative [ISO 200]
  • 400 action [ISO 400]
  • Retropan 320 soft [ISO 320]
  • R 100 [ISO 100]

東欧はチェコのフィルムメーカー。
シブい国のシブいブランドですが、
大きなカメラ店では置いているところも多い。

どのフィルムもとにかくクセがすげぇ
何度か使ったことがあるけど
絶対思った通りにならないw
全体的にねっとりした力強い写り方をします。
いつもの写りにマンネリな中級者以上向け。

なぜかISO200だけが新タイプ乳剤。
あと「R 100」は世にも珍しい
モノクロリバーサルフィルムです。
専用現像液を使うと反転していない画像が現れます。

どこまでも変態(褒め言葉)なブランドです。

Lomography

  • Earl Grey [ISO 100]
  • Lady Grey [ISO 400]
  • Babylon Kino [ISO 13]
  • Fantome Kino [ISO 8]
  • Potsdam Kino [ISO 100]
  • Berlin Kino [ISO 400]

様々なトイカメラとトイカメラ用フィルムを販売しているメーカー。
なかなかクリエイティブなラインナップを用意しています。
「Kino」が付いているフィルムは
映画用フィルムから切り出したものだそうで。
ISO8なんてどうやって使うん?
って正直思いますが、
トイカメラ用なので自由でいいと思います。w

まずはメジャーどころから始めてみよう

以上、6メーカー27種のフィルムを紹介しましたが、
入手しやすく使いやすいものは大体こんな感じです。

よーく探すと他にもマニアックなものが見つかりますが、
OEM品だったり、めちゃくちゃ高かったり、
日本国内ではなかなか入手しにくかったりします。

コダック、フジ、イルフォード、ケントメア
から最初の1本を選ぶことをオススメします。

フィルム選びのポイント

で、フィルムを実際に選んでいくわけですが、
ポイントは感度乳剤タイプです。

あとはメーカーとか、価格とか……ね。

感度

「露出」の時にも感度というのが出てきました。
ISO100とかISO400とかの数字のことです。

写真撮影の一番のキモは「露出」! 露出について理解しよう ~絞り・シャッタースピード・感度・EV~

デジタルと違ってフィルムは途中で感度を変更できないので、
用途に合わせてフィルム感度を選びましょう。

夏の炎天下で撮るときとか、三脚を使う時、
つるっと高精細な写真を撮りたいとき以外は
ISO400のフィルムがオススメです。

また、モノクロフィルムは銀の粒子で画像を表現するので、
敢えて感度の高いフィルムでザラザラ感を出すのも
表現意図としてはアリです。

スキャンしたモノクロフィルム(ISO400)を等倍で切り出した図。ザラザラしているのが銀の粒子です。

ISO100のビシッとシャープな画も好きなんですけどねー。
いかんせん手持ちしにくくて出番少なめ。

乳剤タイプ

乳剤とはフィルムの表面に塗ってある薬品のことです。
写真を記録するためにいちばん大事な部分ですね。
この乳剤には「旧タイプ」と呼ばれる昔ながらのものと、
「T粒子」など各社独自の名称が付いている
新しいタイプのものがあります。

ざっくり言うと、「旧タイプ」のフィルムはざらっとして温かみのある感じに、
新しいタイプのフィルムはつるっとすっきりした感じに仕上がります。

これは完全に好みですね。
撮りたいイメージに合わせて選びましょう。

表にしてみたよ

ってことで、感度と乳剤タイプ別に表にしたものがこちら↓

独断と偏見で強引にオススメ

いっぱいあって分からん! という人のためにかしまさが選んでおきました。

モノクロらしいエモい写真を追究したい人に

Kodak 400TX。いわゆるトライX。トライXで万全って言いますからね。

1954年の発売以来、報道写真などで
様々な決定的瞬間を収めてきたのがこのフィルムです。
20世紀にいちばん使われたフィルムだという人もいるくらいです。

そんなフィルムなので、これぞモノクロ! という雰囲気の写真が撮れます。

フィルムでも高精細を追究したい人に

Kodak Tmax100。銀粒子がまったく見えないくらい細かい。
ビシッと露出を合わせて撮れば
デジタル一眼レフを超える解像度を実現できます。

とにかくたくさん撮りたい人に

Kentmere 400。他のフィルムよりも安く買える。
入手方法の工夫次第では普通の半額以下になることもあります。
低価格だけど低品質ではない。普段使いにぜひどうぞ。
かしまさも愛用しています。

普通に写っちゃ面白くない人に

Fomapan 100 classic。もうね、こいつは言うこと聞きません。w
影はベターっと黒くなるし明るいところはピカーっと真っ白に。
そんな写真で独創性を追求したいならぜひ使ってみましょう。

とりあえずちょこっとだけ試してみたい人に

Ilford XP2 super。お手軽度でいえば無敵です。
カラーフィルムと同じように現像できるので、
自家現像せずにお店に頼めば写真がすぐ見られます。

更には、カメラさえ持っていなくても、
なんと写ルンですタイプが出ているんです!

俄然、欲しくなりますよね?

フィルムはまだまだ終わってない!

様々なモノクロフィルムを紹介してきましたが、
少なくなったという割にはまだこんなに選べるんです。

ま、「数え切れないほど」あるとは言えないけどさ。

フィルム写真の敷居は決して高くない。
皆さんもぜひお試しください。

それでは、かしまさでした。