写真撮影の一番のキモは「露出」! 露出について理解しよう ~絞り・シャッタースピード・感度・EV~
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この記事では写真の「露出」について解説しています。
露出について理解することは写真撮影の一番のキモですから、
これを知っているだけでも撮影の幅がぐっと広がります! 撮れるものが増える!!
露出とは?
露出(ろしゅつ、exposure)とは、光をセンサー(フィルム)に当てることです。
つまり、カメラに光を取り込むことを露出と言います。
光がなければ写真は撮れません。
だから、ちょうどいい量の光を取り込むことがとても重要なんですね。
コップに水を汲む
センサーと光と言われてピンとこない人は、
「蛇口からコップに水を汲む」ところを想像してみてください。
![](https://osumono.net/wp-content/uploads/2020/04/fig1jpg.jpg)
このときコップがセンサー、水が光と同じです。
適正露出
「ちょうどいい量の露出」のことを適正露出とも言います。
光の量が足りなければ暗い写真に、多すぎれば眩しい写真になってしまうので、
きれいな写真を撮るには適正露出であることが必須になります。
光が足りない状態のことを露出不足(アンダー)、
光が多すぎる状態のことを露出過多(オーバー)とも言います。
アンダーの時は写真の中に黒つぶれが、オーバーの時は白飛びが発生しやすくなります。
黒つぶれや白飛びになってしまうと、修正や加工で後から何とかすることができません。
白飛び
光の量が許容量より多く「真っ白」の部分が発生することです。
真っ白の部分は色の情報が無くなってしまうので、
後から画像処理でなんとかしようとしても、元通りにできません。
黒つぶれ
逆に光が少なくて「真っ黒」の部分が出来てしまうことを黒つぶれといいます。
![](https://osumono.net/wp-content/uploads/2020/04/moderate-5-320x180.jpg)
こちらも、補正で元通りにすることが難しいです。
というわけで、後から何とかしようとするのではなく、
撮るときに「適正」に合わせておくことが大切なんです。
「適正」ってどれくらい?
多すぎ少なすぎはそのまんまですが、では「ちょうどいい量」とはどれくらいでしょう?
これは「何か料理を作るときに塩を何グラム入れるべきか?」とか
「コップに水を汲むときに何ミリリットルがちょうどいいか?」というのと同じようなことです。
「そんなの、その時々で違うから決められないよ!」と思った方は正しい。
適正露出は撮影する人や撮影する状況によって変わるものです。
その写真を撮った人が「ちょうどいい」と考えたならそれが適正露出。
他の人から見ればちょっと暗すぎたり、明るすぎたりしてもです。
(この辺まさに、料理の味付けみたいですね)
どれがお好みでしょうか?
人によって感じ方が違いますので、正解はひとつに決められませんよね。
ということで、適正露出で撮影するためにはどれくらいが「適正」か自分で判断できて、
適正になるように露出を調節(コントロール)する方法を知っている必要があります。
露出を調節する方法
カメラで露出を調節するために操作するところは3つあります。
- 絞り
- シャッタースピード
- 感度
明るさを調整するだけなのに3つもあるのか! と思ってしまうところですが、
それぞれ役割に微妙な違いがあります。順番に見ていきましょう。
絞り
絞りは、レンズ内部にある絞り羽根という部分を動かして
開いたり閉じたりすること光の量を調節します。
実際にはレンズに付いた絞り環やカメラのダイヤルを操作します。
絞り羽根が閉じてレンズ内の「穴」が小さくなるほど、
カメラに取り込む光の量が少なくなります。
先ほど出した「コップに水を汲む」の例えで言うと、
絞りはどれくらい蛇口を開けるかを表しています。
絞りはF値という数字で表します。F5.6とかF8とかそんな感じです。
カメラの画面に出ているのを見たことがあるかもしれません。
F値はF1、F1.4、F2、F2.8、F4・・・・・・というように約1.4倍刻みになっていて、
ひとつ右の数字になるごとに光の量は半分になっていきます。
数学が得意な人はピンと来たかもしれませんが、約1.4倍=√2倍です!
「穴」の面積と光の量が対応しているんですね。
F値の数字の並び
F1・F1.4・F2・F2.8・F4・F5.6・F8・F11・F16・F22・F32…
1と1.4が最初にあって、1個飛ばしに2倍ずつになっていくと考えると分かりやすい。
でも、この数字の刻み自体は特に覚えなくても大丈夫です。レンズに書いてあるし。
ただ、
F値を小さくする=光をいっぱい取り込む=明るい
F値を大きくする=光をちょっとだけ取り込む=暗い
というところは押さえておきましょう。
ちなみに、F値を小さくすることを「(絞りを)開ける」、大きくすることを「(絞りを)絞る」とも言います。
被写界深度とはなんぞや
F値は、明るさだけではなく被写界深度(ひしゃかいしんど)も調節します。
難しそうな用語でびっくりしちゃいますが、ピントが合う範囲のことです。
上の猫ちゃんは絞りをF1.8にして撮影しました。
顔の表面にはピントが合っていますが、耳の後ろの辺りはボケていて、
背景も何が置いてあるか分からないくらい大きくボケています。
そしてこちらの風景はF16で撮影したものです。
こちら側の道路の端から奥にある建物まで、全部にピントが合っていますね。
このように、
絞りを開けると被写界深度は狭く(ボケやすく)なり、絞ると深く(ボケにくく)なります。
つまりF値を調節することは、ボケの量を調節することでもあるんです。
ポートレート(人物写真)の撮影ではよく、背景を大きくぼかすことが行われます。
これは背景をぼかすことで視線を被写体(人)に向かわせるためです。
逆にたくさんの人の集合写真や自然などの風景写真は、深い被写界深度がよく使われます。
前列の人にしかピントが合っていない集合写真じゃおかしいですもんね。
シャッタースピード
シャッタースピードは、シャッターを開けている時間のことです。
「コップに水を汲む」例えで言えば、蛇口を開けている時間のことです。
時間なので絞りよりも直感的に分かりやすいかもしれない。
シャッターを開けている時間が長ければ長いほど、光をたくさん取り込めて明るくなる。
逆に短ければ暗くなる。
そして1秒より2秒の方が光の量は2倍になるし、1/2秒なら半分。
まぁそうでしょうな。
シャッタースピードの数字の並び
……1・1/2・1/4・1/8・1/15・1/30・1/60・1/125・1/250・1/500・1/1000……
単位は「秒」です。
カメラのシャッターが開いている時間は大抵とても短いので分数で表記します。
カメラの表示では「125」などと分母だけで書いてることもあります。
長いと30秒、短いもので1/8000秒というスピードが使えることもあります。
写真で「動き」を伝える
写真に撮ったものは動きません。止まっています。
でもシャッタースピードをうまく使うと「動いているみたいな」
「躍動感のある」写真を撮ることができます。
例えば、ピタッと止まって見える車と、流れている背景が写真に写っていたら
「この車はすごい速さで走ってるんだな」というのが表現できます。
(カーレースの写真なんかはそうやって撮られていることが多い)
他には、絶えず水が動き続けている「滝」を止まったように撮ったり、
逆に動きをつけて撮ったりすることで全然違うもののように写すこともできます。
![](https://osumono.net/wp-content/uploads/2020/04/fastss-320x180.jpg)
![](https://osumono.net/wp-content/uploads/2020/04/slowss-320x180.jpg)
つまりシャッタースピードを調節することは写真の「動き」を調節することでもあるんです。
感度
感度は、センサー(フィルム)がどれくらい光に敏感かの度合いです。
コップに水を汲む例えでいえば、「コップの大きさ」のことです。
同じ量の水でも、大きいコップには少ししか貯まらないし
小さいコップならすぐにいっぱいになります。
同じように、感度を低くすればたくさんの光を取り込めますし、
感度を高くすれば少しの光でも明るく撮れるようになるんです。
感度は「ISO」という単位で表されることが多いです。
古いフィルムカメラでは「ASA」と書いてあるものもありますが、基本同じものです。
ISOの数字が大きいほど感度が高くなり、
ISO100に対してISO200は2倍の感度があることになります。
ISO感度の数字の並び
ISO50・100・200・400・800・1600・3200・6400・12800・25600……
数字が倍々に増えていくだけなので一番分かりやすいかと。
これもカメラによりますが一番低い設定でISO100か200のものが多いです。
フィルムだとISO25なんていうものがたまにあります。
高すぎず、低すぎず
感度には絞りやシャッタースピードほど画像に与える「効果」はありません。
でも、感度を高くしすぎると画像が粗くなってしまいます。
光が足りる範囲でできるだけ低い感度を使うときれいな写真を撮影できます。
上のジオラマは暗い博物館内で、ISO40000という超高感度で撮影したものです。
一見、綺麗に撮れているようにも見えますが……
拡大して見るとこの通り、かなりザラザラしています。
また、デジタルカメラでは写真1枚ごとに感度を変えられますが、
フィルムの場合は1本分すべてが同じ感度設定でないといけません。
(フィルムは大抵箱に書いてある設定で使いますけどね)
露出の帳尻合わせをする
絞り・シャッタースピード・感度と、露出の調整について
3種類の指標が出てきましたが、これらの数値には相関関係があります。
どういうことか……
例えば、絞りがF5.6、シャッタースピード1/60秒、感度がISO400という設定で
適正露出の写真が撮れる状態だったとします。
でも実際に撮影してみたら「もうちょっと背景がボケてるほうがいいなぁ」
という感じでした。
背景をぼかすには絞りを開ける必要があるので、
F5.6の設定をF2.8に変えようと思います。
しかし、F5.6→F4→F2.8と2段階分絞りを開けるので、
写真全体が適正露出の2倍の2倍、つまり4倍明るすぎてしまいます。
背景をぼかしたいけど、露出は変えたくないので、
絞りを操作して2段階分明るくなった分を、シャッタースピードか感度で
2段階分暗くする操作をすれば、釣り合いが取れることになります。
+2した分、他のところから-2するんですね。
シャッタースピードを調整するなら、
1/60秒→1/125秒→1/250秒なので、1/250秒に設定すればいいし、
感度を調整するなら、ISO400→200→100で、ISO100で適正露出になります。
もしくは両方を1段階ずつ調整して、F2.8、1/125秒、ISO200としても
適正露出のままで、背景をぼかした写真が撮れるようになります。
言葉だけで説明するとややこしく聞こえますが、
3つの組み合わせで露出(明るさ)の帳尻合わせをしながら、
背景をぼかしたり、動きを出したりという操作も同時に行っているんです。
それぞれの項目で設定の数字の並びを書いておきましたが、
どの数字もひとつずれるごとに光量が2倍または1/2倍になります。
こういう数字の並びを段またはEVと呼びます。
絞りをF5.6をF2.8にする操作は「2段開ける」とか「+2EV」とも言います。
まとめ
- きれいな写真を撮るにはちょうどいい明るさ(適正露出)が大切
- 適正露出を得るには絞り、シャッタースピード、感度を調節する
- 絞りを開けると明るくなる(ボケる)←→絞ると暗くなる(ボケない)
- シャッタースピードを長くすると明るくなる(躍動感)←→短くすると暗くなる(動きが止まる)
- 感度を上げると明るくなる(粗くなる)←→下げると暗くなる(滑らかになる)
- 1段開ける(+1EVする)と光量は2倍、1段絞る(-1EV)と光量は1/2倍
結構こってりした内容になってしまいました(大汗)
実際にカメラを動かしながらじっくり読むとだんだん分かってくると思います。
写真を撮るときはこれらの効果と露出の関係を考えながらダイヤルを調節します。
「背景をあまりぼかしたくないけど、
絞ると暗いからシャッタースピードが長くなってぶれちゃいそう・・・・・・
だから感度を上げて撮影しよう!」
みたいな感じ。
すぐにこういう判断ができるようになれば、
その時にはオート以外のモードで撮影するのが怖くないはず。
露出モードをうまく使い分けて、狙い通りの写真を撮影しましょう!
それでは、かしまさでした。
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