How to FILM 【フィルム現像編】その1 – 必要な道具を揃えよう

2021年2月28日

【約 37 分で読める記事です】

フィルムの自家現像というとものすごく高度なことのように思われがちですが、
実際のところそんなに難しい作業ではないんです。
ぶっちゃけ、作業の難易度だけで言えば小学校の理科の実験レベルです。

何かのきっかけでモノクロフィルムを使って写真撮影をしたのなら、
ぜひそのフィルムを自分で現像してみましょう! めっちゃ楽しいぜ!

奥が深い世界なのでこだわり出すとキリがないのも事実ですが、
ちょっとくらいいい加減なことをしても大して問題ないことの方が多いです。
かしまさのいい加減なやり方を通して
「あ、これなら自分でもできるかも」と思ってもらえれば幸いです。

フィルムの自家現像に必要なもの

前置きはこのくらいにして、早速実際の作業に必要なものを紹介していきます。
なくて困らないものもありますが、使いやすそうなものから用意してみましょう。

現像タンク・リール

必須度…★★★★★

まずこれはどうしたって必要です。

リールは、入れ物から取り出したフィルムを巻き取るための渦巻き状の枠です。
タンクは、リールを中に収めて現像液などの薬品を流し込むための容器です。
現像する前のフィルムに光が当たると撮った写真が消えてしまいますので、
液体は出し入れできるけど光が中に入らない構造になっています。

プラスチック製タンクとその中身。35mmフィルムを2本同時に処理できる。
ステンレス製タンクとその中身。35mmフィルム1本用なので非常にコンパクト。

この2つはだいたいセットで売ってます。
一度に現像できるフィルムの本数によって、1本用から4本以上までサイズも様々です。

プラスチック製の方がリールにフィルムが巻き取りやすいので初めての人には使いやすいです。
一方でステンレス製は熱伝導率が高いので薬品の細かい液温管理に向いています。

ダークバッグ

必須度…★★★★☆

これも基本的には必須。ないと超困ると思う。
裾が開いていないジャンパーみたいな袋です。

先程、現像前のフィルムに光が当たると撮った写真が消えてしまうと言いましたが、
「じゃ、取り出したフィルムをどうやってタンクに入れるんだ?!」
と思った方もいるかもしれません。これです
光が入らない袋の中に手を突っ込んで作業するんです。
超ミニミニ暗室みたいなもんですね。

そうそう、現像というとまず暗室が必要なのでは? と思った方もいるかもしれませんが、
実はフィルムの現像で暗室は必須ではないんです。その代わりにこのダークバッグを使用します。

薬品

必須度…★★★★★

化学反応でフィルムを処理するための薬品。まぁ……要るよね

現像の工程は大きく現像停止定着の3つに分けられます。
それぞれの工程で違う薬品を使います。

現像液

フィルムの光が当たったところに反応する薬品です。
Kodakから出ている「D-76(ディーナナロク)」がド定番。
粉で売っていて、これをお湯に溶かして使用します。

粉を溶かすのが面倒な人には、同じくKodakの「TMax Developer」があります。
こちらは濃縮液を必要な分だけ薄めて使うのでちょっと楽。

Kodakばかり紹介してしまいましたが、富士フイルムからは
「ミクロファイン」「スーパープロドール」という現像液が販売されています。
これはどちらも粉タイプ。

停止液

現像液の化学反応にブレーキをかける薬品。

アルカリ性の現像液を中和するために酸が入っています。
昔は水で薄めた酢酸が主流だったらしいんですが、どうしても臭いので
最近はクエン酸が主成分のあんまり臭くない停止液が売られています。
イルフォードから出ているILFOSTOPという停止液は、
交換時期になると色が変わって知らせてくれる便利機能付き! おすすめです。

でも実は、停止液を使わず水で停止処理してもなんとかなるとの噂。
かしまさも最初の3年くらいは停止液使ってませんでした。

定着液

光が当たらなかった部分の銀イオンを除去する薬品です。
定着液がなにげに一番臭い。これだけはどうにかならんもんか。

ILFORD RAPID FIXERというのがイチオシです。
「迅速酸性非硬膜定着液」といって、フィルムにコーティングの膜を作らないタイプ。
そして名前の通り迅速。3分~5分くらいで処理できるので時短にもなります。
富士フイルムから出ているスーパーフジフィックスは硬膜タイプなのであまりおすすめしない。

現在販売されているフィルムは基本的にコーティングされているので、
定着処理の時に改めてコーティングが必要なのは、かなり特殊な処理をするときだけらしい。

その他

定着後の水洗時間を短縮することができる「富士QW」、
乾燥のときに水滴が付きにくくなる「ドライウェル」なんてのもあります。
なくても困らないですが、そんなに高い物ではないのでいっそ全部買っておくといいかも。



かしまさのオススメセレクション

まずは使いやすくクセの少ないものにしましょう。ってことでこれ

  1. Kodak D-76 (現像液) … \650
  2. Ilford Ilfostop (停止液) … \1,400
  3. Ilford Rapid Fixer (定着液) … \2,300
  4. 富士フィルム 富士QW (水洗促進剤) … \80
  5. 富士フィルム  ドライウェル (水滴防止剤) … \360

書いてある値段は大体の目安です。全部で7,000円くらいですかね。

フィルムクリップ

必須度…★★★☆

フィルムを吊り下げて乾燥させるときに付ける重りつきのクリップ。
吊り下げられれば洗濯ばさみでも使えますが、重りが付いているのがポイント。
フィルムをピンと張った状態で乾燥させられるんです。
あるに超したことはない、という感じですね。

計量カップ、注射器

必須度…★★★★

実験っぽい。

薬品の液量を計ったり、タンクから排出した液を一旦貯めておくのに使います。
ごく少量を計りとる場合は注射器が便利かも知れません。
理科の実験で使ったメスシリンダーと計量カップが合体したような
「メスカップ」というものもあります。

暗室用品コーナーで専用品が売っていますが、液量が計れれば何でも大丈夫。
100均でも用意出来ます。
計量カップはキッチン用品コーナー、注射器はコスメコーナーに置いてある。

薬品が混ざると良くないので処理液別に3つか4つずつあればベストですが、
よく洗いながら使えば1つでも足りないことはないです。

保存瓶

必須度…★★★★

茶色が停止液、白が定着液の保存瓶。現像液は使い捨てなので保存瓶がありません。

薬品を保存しておくための瓶。
停止液・定着液は日持ちするので、瓶に入れて保存しておき、繰り返し使います。

これも「瓶」ならぶっちゃけ何でも大丈夫です。空きペットボトルでも問題ありません。
ただし何の薬品なのか分かるようにちゃんと書いておきましょうね。
それと間違えて飲まないように、飲み物の近くに置いちゃダメです。

キッチンタイマー

必須度…★★☆

現像時間を計るためのキッチンタイマー。
ただ、こういう便利なものもあります↓

フィルムと現像液の組み合わせから現像時間を調べられて、そのままタイマーにもなります。
よく使うフィルムと現像液の組み合わせをお気に入りに登録できるので
かしまさはこれを使っています。

温度計

必須度…★★★★

処理温度も低すぎたり高すぎたりすると現像結果に影響があります。
たいていの現像液は20℃で使うようになっているので、20℃が測れる温度計を用意しましょう。
ただの棒温度計で大丈夫です。割らないように注意。

ゴム手袋

必須度…★★☆

薬品類は体に良いものではないので、手荒れが心配な方はゴム手袋をしましょう。
かしまさは手汗がすごいので使っていません。

フィルムピッカー

必須度…★★★

撮影が済んだフィルムはベロの部分を中に巻き込んでしまっていますが、
このベロをもう一度外に出すための道具。
これを使えばパトローネを壊さなくてもフィルムを引き出すことができます。
長巻フィルムを使うならパトローネを再利用できるので、
結果的に買った方がコスパが上がるかもしれません。

栓抜き

必須度…★★☆

パトローネを壊して開ける派の人はこちらを用意します。
いずれの場合もケガしないように気をつけましょう。

ネガシート

必須度…★★★★

現像処理が終わった後、フィルムを収納するビニールの袋です。
6コマずつに切ったフィルムがちょうど入るようになっています。

海外だと6コマではなく5コマで切ることもあるらしいので、
個人輸入するときは気をつけましょう。

全部でいくらかかる?

だいたいこんなところの道具を揃えれば、あなたもフィルム現像を始められます!

全部揃えると……新品で2万~3万くらいでしょうか。

大きなカメラ店に行けばコーナーがあります(通販でも買えます)が、
安く始めたい方は中古を探してみてください。かしまさは大半をヤフオクで調達しました。
薬品は新品で買うしかないとしても、
現像タンク、ダークバッグ、フィルムクリップなどはヤフオクでもよく見ます。
頑張れば1万以内で揃えることもできるかもしれません。

もしくは、昔やってたことがある(けど今はやっていない)知り合いからもらえたら0円ですね!w

以上、かしまさでした。