実践的交換レンズ選びのポイント。交換レンズを増やしたいときにどこを見たら良いのか。
【約 9 分で読める記事です】
写真の交換レンズには広角・標準・望遠といった種類があって、
それぞれ写り方に特徴があるという話を前回の記事でしました。
今回はその続きです。
どんな画を撮りたいのかが何となく想像出来ていて、
「新しくレンズを買うなら広角のズームがあるといいかなぁ」なんて
具体的に選ぼうとしている段階の時に、見るべきポイントを挙げていきます。
50mmが35mm?!「35mm判換算」
前回の復習。
広く撮れる「広角レンズ」と遠くのものが撮れる「望遠レンズ」、
その境目になる標準レンズとは何mm前後のもののことでしょうか?
そう、50mm。標準レンズといえば50mm。
ただしこれ、実はフルサイズセンサー(または35mmフィルム)の場合の話なんです。
センサーサイズの話はこちら
レンズの焦点距離が同じでも、カメラのセンサーサイズが違えば
撮影できる画像の大きさは変わります。
小さいセンサーほど、より大きく(近づいたように)写るんです。
例えばこんな風景があったとしまして、
これをレンズを通して写真に収めるとき、カメラ内はこんな感じです。
まず、風景が丸く切り取られていますが、これはレンズが写し取れる範囲です。
レンズの焦点距離によって範囲は様々ですが、丸い形に切り取られるのは共通。
だって、レンズって筒状じゃないですか。
このレンズで切り取れる範囲のことをイメージサークルとも言います。
さて、写真は四角い。
ということで、この丸の中からさらに四角く写真に写る範囲を切り取っているわけです。
で、センサーのサイズによって切り取れる範囲がこんな風に違ってきます。
切り取った範囲だけを見てみるとこうなります。
小さいセンサーの方が切り取れる範囲が狭いので、
同じ大きさの写真にしたとき、実際よりも望遠レンズで撮ったように「寄って」見えるんです。
だから、標準レンズだと思って50mmのレンズを使っても、
実際にはもっと長い焦点距離と同じなので、何だか近すぎて使いにくいなぁ……
ということが起こりうるんですね。
そこで実際の(見かけ上の)焦点距離がどれくらいなのかを知るために
35mm判換算値という指標を使います。
これを使うと「○○mmのレンズを私のAPS-Cのカメラで使うとどれくらいになるの?」
というのが計算で分かります。
換算値一覧
レンズに書いてある焦点距離に、センサーサイズに応じて以下の数字をかけ算します。
- APS-C …… ×1.5倍 (Canonは×1.6倍)
- マイクロフォーサーズ …… ×2倍
- 1/1.7型 …… ×4.55倍
- 中判(645判) …… ×0.6倍
自分のカメラのセンサーサイズがどれで、何倍したら良いのかを把握しておきましょう。
大体の人はAPS-Cかマイクロフォーサーズだと思います。
「標準レンズ」の50mmはそれぞれ、
APS-Cだと50×1.5=75mm
マイクロフォーサーズだと50×2=100mm
となるので、もう標準というより望遠レンズの領域に入っているんですね。
そりゃあ狭くて使いにくいわけだよ。w
逆に「何mmが50mm相当のレンズなのか」は割り算で出せます。
APS-Cなら50÷1.5=33.333333……≒35mm
マイクロフォーサーズなら50÷2=25mm
ということで、今後レンズの焦点距離について話している時は、
頭の中で1.5倍したり、割る2したりしながら読み進めてください。
しかし、大多数の人にとっての「標準レンズ」が50mmじゃないのに、
メーカーが一番手に取りやすい価格設定にしているのが50mmのレンズというのも
「本当はこっちだよ」と2本目を買わせるための戦略か? と邪推したくもなりますわなぁ。
ま、35mmのレンズも安い部類ではありますがね。
APS-C専用レンズ
APS-Cサイズのセンサーの方が切り取る画も小さいということを説明しましたが、
そうなると、レンズが切り取る範囲(イメージサークル)も小さく作ることができるわけで、
APS-Cセンサーのカメラを出しているメーカーでは
そういう「APS-Cセンサー専用のレンズ」というのも発売しています。
キヤノンの「EF-Sレンズ」やニコンの「DXフォーマットレンズ」などがそれにあたります。
イメージサークルを小さく設計できるので、フルサイズ対応のレンズよりも小型軽量に設計することができます。
(ちなみに、上に挙げた2社のフルサイズ対応レンズはそれぞれEFレンズ、FXフォーマットレンズという名前です)
ただしフルサイズ対応のカメラでは同じようには使えないので、いずれフルサイズに買い換えようと思っている人は注意して選びましょうね。
EF-Sレンズはフルサイズカメラには物理的に付けられないようになっています。
一方でDXフォーマットレンズはFXフォーマットのカメラに付けて「クロップモード」で撮影することができるそうです。
マウント
既にレンズ交換式カメラを使っている人ならもうおわかりかと思いますが、
カメラとレンズを接続する部分はメーカーによって形や口径がバラバラです。
この接続部分のことをマウントと言いますが、使っているカメラと同じマウントのものの中からレンズは選ばないと、カメラに付けられません。
メーカーごとのマウントの名前
- キヤノン=EFマウント、EF-Sマウント、EF-Mマウント、RFマウント
- ニコン=Fマウント、Zマウント
- ソニー=Eマウント、Aマウント
- オリンパス、パナソニック=マイクロフォーサーズマウント
- ペンタックス=Kマウント、Qマウント
主なものだけを挙げてみましたが、他にもいろいろあります。
フィルムカメラ時代のマウントまで含めるともう、網羅しきれないくらい。
基本的にはメーカーが同じものの中から選べば大体間違いないんですが、
同じメーカーの中で互換性がない組み合わせもあるので、よく確認しておきましょう。
いろんなメーカー向けに各種マウントのレンズを発売している互換レンズメーカー
(シグマ、タムロンなど)のレンズを選ぶときにも必要ですので、
自分がどのマウントのカメラを使っているのかはぜひ把握しておきましょうね!
手ぶれ補正
交換レンズの中には手ぶれ補正といって、カメラを構えている時に発生するぶれを吸収して
手ぶれでの失敗写真が起きにくくなる機構を内蔵しているものがあります。
キヤノンのIS(Image Stabilizer)、ニコンのVR(Vibration Reduction)、ソニーのOSSなどの種類があります。
一方で手ぶれ補正レンズを出していないメーカーもありますが、
これらのメーカーでは手ぶれ補正ができないのではなくて、ボディ内に手ぶれ補正機構を内蔵しています。
その他の機能
他にもいろいろ、超音波モーターだとか、インナーフォーカスだとか、蛍石レンズ使用だとか、
各社工夫を凝らしたレンズラインナップを発売しています。
・・・・・・それらを全部紹介しているととてつもなく長くなってしまいますので、
各自、欲しいと思っているマウントの紹介ページなどで機能を調べてみてください。
レンズの名前に使われている記号が何を表しているのか、各社ページを作って紹介しているはずです。
まとめ
- レンズの焦点距離だけでなくセンサーサイズでも写真に写る範囲は変わる
- APS-Cセンサーではフルサイズの1.5(1.6)倍相当の画角、マイクロフォーサーズでは2倍相当の画角になる
- カメラに対応したマウントのレンズを選ばないとカメラに付けられない
- 手ぶれ補正やいろいろな機能をもったレンズが発売されている
買うとして何万円の単位のものなので「気軽に」増やせるものでもありませんが、
せっかく買うならこういったところに気をつけて、後悔しないレンズ選びをしましょう!
それでは、かしまさでした。
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