太陽の光は何色でしょう? ~ホワイトバランスと色温度の話~

2020年5月19日

【約 6 分で読める記事です】

突然ですが、太陽光、つまり日の光は何色でしょうか
子供が描く太陽はですが、真っ赤な太陽から降り注ぐ光は赤くない。

今回はそのあたりの「色」の話です。

太陽を赤で描く国は日本以外にあまり多くないそうです。

写真の「色」を調整するホワイトバランス

写真の明るさを調整するために
「露出」の考え方が大切だよーという記事を書きましたが、
写真の色を調整するために必要なのがホワイトバランスという尺度です。

ホワイトバランス……名前の通り「白」でバランスを取ります。
白いものの基準を決めて「これが白です」という設定をすることで
思った通りの色合いで写真を撮れるようにするものです。

人間の目は高性能

白の基準を決めると言っても白はいつでも白やろ、と思うかも知れません。

上はかしまさのかつての愛車の写真です。去年まで乗っていました。
この車は何色だと思いますか?

正解は、白でした。
結構簡単に当てた方が多いんじゃないかと思います。でも、

上の写真から一部だけ切り取ってみると、どう見ても白じゃない
周りの光に合わせて、人間の目は自動で色を補正して見ているんですね。
しかしカメラはその「基準」がないと補正できませんので、
白の基準を設定してやる必要があるわけです。

ちなみに2枚目の写真も、Lightroomを使って白い部分を指定することで黄味を抜いて作ったものです。

色温度で色が数値化できる

見たとおりの色で写真を撮るためのホワイトバランス設定ですが、
色温度(いろおんど/しきおんど)」という数字で光の色を表すことが多いです。
色温度はK(ケルビン)という単位を使います。

詳しく説明してもどんどん難しくなっていくので、ざっくり表すと

色温度が低い=黄色っぽい色の光
色温度が高い=青っぽい色の光

ということになります。黄色と青の中間あたりはちょうど白い光です。

黄色っぽい光を白に近づけるには、青を混ぜて中和します。
反対に青っぽい光には黄色を混ぜます。
したがってカメラのホワイトバランス設定では、低い数字ほど画面が青くなり、
逆にに高い数字ほど黄色くなります。

太陽光は基本的に白い光ですが、時間によって色が変わります。
日の出や日の入りの瞬間の太陽の光は赤っぽい色(=色温度が低い)で、
日の出前や日の入りの後は辺りが青っぽい色(=色温度が高い)に見えませんか?

光にも黄色っぽいとか青っぽいとか色がついていて、
それを数値化できることだけなんとなく押さえておいてください。
使っているうちにだんだん分かってきます。w

実際のカメラ設定はもっと分かりやすい

カメラにホワイトバランスを設定するとき色温度の数値を直接入力できるものもありますが、
大体のカメラは主な設定が既に用意されているので、それを切り替えるだけで簡単に設定できます。

EOS 6D Mark IIの説明書から抜粋
Pentax K-xの説明書から抜粋

太陽光、くもり、日陰、電球、蛍光灯、ストロボなど、使いそうな設定は大体揃っています。
メーカーによって少しずつ設定値が違うんですね。

ホワイトバランスを調整して比較してみる

それでは実際にホワイトバランスを調整して、どんな違いが出るかを見てみましょう。
説明のために撮った写真を後から加工してホワイトバランスを比較していますが、
本来は撮影するときに調整しておきます。

もとの写真

近所の動物園で撮影したコツメカワウソくん。

ホワイトバランスの設定が蛍光灯(約4500K)のままだったので、
なんだか全体的に青っぽくなってしまいました。

ホワイトバランスを「曇り」に変更

この日は少し曇り気味だったので、ホワイトバランスを曇り(約6500K)に設定してみました。
青っぽさが取れてスッキリした写真になったのが分かると思います。

マニュアルでさらにいじってみる

色温度をマニュアルで直接入力できるなら、これくらいまで上げてみてもあまり不自然さはないですね。
これは9000Kです。ちょっと暖かみが増しました。

色を際立たせるのにも使える

正しい色を表現するためのホワイトバランスですが、
写真の中で見せたい部分の色を強調するためのカラーフィルターのように使うこともできます。

夕暮れの遊歩道。
街灯の明かりがオレンジだったのでホワイトバランスを「電球」に設定しています。
空の青い光が全体に回って夕暮れの感じがしますよね。トワイライト。

しかしこの写真で表現したいのが「街灯の明かりのオレンジ色」だとしたら……
この写真だとオレンジが薄くなってしまってイマイチしっくりきていませんねぇ。

ホワイトバランスを「日陰」に変更してみました。色温度でいうと7000Kです。
紫の淡い光で照らされていた石畳がオレンジ色に輝いていますね。

このように、ホワイトバランスを使って色を足すことで、
思い通りの写真に仕上げていくということもできるんです。
夕焼けの赤とか、晴れた空の青とかね。

青=クール、黄色=暖かみ

色味を変えると写真のイメージも変わります。
先程のコツメカワウソの写真でも、1枚目と3枚目では表情が違って見えませんか?

クールなイメージに写したいか、暖かいイメージで写したいかで
ホワイトバランスを調整して色味を決めると、狙い通りの写真が撮れます。

食べ物は黄味が強い方が美味しそうに写る

実際の色ときっかり同じにするよりも、多少誇張した方がきれいに見えることがあります。
食べ物なんかは特にそうです。

とっても美味しそうなステーキ。
ホワイトバランスを正確に取って4200Kで撮影しています。

色温度を6500Kまで上げてみました。だいぶ黄色みが強くなったことが分かりますね。
でも、何となくこっちの方が美味しそうに見えませんか?

参考までに、今度は色温度を3500Kに下げてみました。なんか……違う

ということで、食べ物は黄色っぽく撮ったほうが美味しそうになります。
飲食店の明かりに電球や白熱灯が多く使われる理由がよく分かりますね。

正確なホワイトバランスを取るためには

カメラのプリセットである程度ただしいホワイトバランスは設定できますが、
メルカリに出す商品の写真などで、厳密に正確な色を出したいと思ったらどうするか。
「マニュアルホワイトバランス」などの機能を使って白の基準を測るのですが、
その時に使うのがグレーカードです。

露出を正確に測るときに使うと説明しましたが、ホワイトバランスを取るときにも使えます。
特定の色に偏っていないグレーなので、露出だけでなく色の基準にもなるんですね。

まとめ

  • 見たとおりの色で写真を撮るためにはホワイトバランスの設定が大切
  • ホワイトバランスは色温度という数値(ケルビン)で表される
  • 色温度が低い光は黄色っぽく、高い光は青っぽい
  • ホワイトバランスを逆にカラーフィルター代わりに使うこともできる
  • 正確に測るときはグレーカード

「露出」と「ホワイトバランス」が理解できれば、思い通りの写真を撮るために
必要な操作が何か、大体分かるようになります。
カメラの設定を色々いじって、どんな風に変わるのか試してみてください!

それでは、かしまさでした。