「交換レンズ」なんだから交換しないともったいない! レンズを増やして撮れる写真の幅を広げよう!!

2020年5月29日

【約 9 分で読める記事です】

一眼レフやミラーレスカメラを使っている方、
交換レンズはいくつ持っていますか

本体と一緒に付いていたキットレンズだけを使っている人が多いかも知れませんが、
せっかくレンズが交換できるようになっていますので、
今のレンズからステップアップしようと思ったときに
レンズを選ぶのに知っておくべきことをまとめてみます。

単焦点レンズとズームレンズ

交換レンズは大きく「ズームレンズ」と「単焦点レンズ」の2つに分けられます。

ズームレンズ

デジタルカメラのキットレンズとして付属しているのは十中八九ズームレンズだと思います。
レンズを回転させるとにゅーんて伸びて、写真に写る範囲(画角)が変えられるアレですね。
様々な画角に対応できるので、とりあえず1本あれば大体のものが撮れるようになって便利です。

単焦点レンズ

それに対してズームできない、画角が固定されているレンズを「単焦点レンズ」と言います。
ズームできないと言うと不便に思えますが、ある特定の焦点距離に特化して設計されているので
ズームレンズよりもきれいに撮りたい人がよく使います。

5教科全部80点以上がズームレンズで、1教科だけ100点が単焦点レンズと思っていただければだいたい正解です。

どっちがいいか

単焦点とズーム、どちらがいいかというと……一概には言い切れません

ある焦点距離での描写力ということでは単焦点レンズの方が勝りますが、
ズームレンズと同じように、いろんな画角を単焦点でカバーしようとすると
レンズを何本も用意しないといけません。

あるいは、単焦点レンズはある焦点距離に特化しているので、
レンズ自体がズームレンズよりも小型で軽量なものが多いです。

どういう撮り方をしたいかによって選ぶのが一番間違いないと思います。
まずはキットレンズのズームを使ってみて、
その中で特によく使う焦点距離の単焦点レンズを次に購入する……とかね。

開放F値

露出の記事で「F値」について書いていますが、
レンズによって、使える最大のF値は違います。
その最大のF値のことを「開放F値」といいます。

単焦点レンズでは開放F値がF1.4やF2などのものが多く、一方で
ズームレンズではF2.8やF3.5など、より小さいものが多いです。
またズームレンズはズームすることで更に開放F値が小さくなって、
F5.6とかになるものも結構多くあります。

ということは、単焦点レンズの方が取り込める光の量が多いわけです。
(開放F値の数字が小さいレンズのことを「明るい」レンズとも言います)

そして小さいF値を使えるということは、単焦点レンズの方がよくボケます
背景を盛大にぼかす写真が撮りたいならぜひ使いましょう、単焦点レンズ。

画角・焦点距離による分類

画角とはざっくり言えば「写真に写る範囲」のことです。

広角レンズ

広い範囲を写し取ることができるレンズを広角レンズ(ワイドレンズ)といいます。
焦点距離でいうと50mmより短いもののこと。
35mm、28mm、24mm、20mmといったラインナップを各社取り揃えていて、
数字が小さければ小さいほど、広く写せる。

画面内に何でもかんでも収められるので風景写真などを撮るときに便利。
広い画角は遠近感を強調するので、
「ひろーい!」「でかーい!」という感じを活かして写すことができます。
またピントの合う範囲(被写界深度)は短い焦点距離のレンズほど深くなる(=ボケにくい)ので、
パンフォーカスに固定してバシバシとスナップシューティングするにも便利です。

広角レンズで奥行き感を出した撮影例

望遠レンズ

それに対して50mmよりも焦点距離が長いレンズを望遠レンズ(テレフォトレンズ)といいます。
70mm、85mm、105mm、135mm……長いものだと600mmなんでのもあります。
スポーツの撮影をしているカメラマンの人や、野鳥を撮影するおじさんが構えている
あのでっかいレンズが望遠レンズです。

バズーカ砲

広角レンズとは逆に、数字が大きければ大きいほど遠くのものを大きく写せます。
だからあまり近づけないものの撮影には望遠レンズが必要なんですね。
また焦点距離が長いほど被写界深度が浅い、つまりボケが大きいので、
背景をぼかしたポートレート写真の撮影でも望遠レンズがよく使われます。

85mm単焦点レンズのことを「ポートレートレンズ」と言う人もいるくらいです。

また、遠くのものをぐっと引き寄せて写せるので遠近感が薄れて
遠くのものから近くのものまでぎゅぎゅっと詰まったように写ります(圧縮効果)。

電線のぐちゃぐちゃを望遠レンズで表現

標準レンズ

広角レンズと望遠レンズの境目が50mmとしてきましたが、
大体50mm周辺(40~60mmくらい)の焦点距離のレンズを標準レンズといいます。
50mmちょうど以外にも、45mmだったり55mmだったり58mmだったりがあります。

写り方は……標準レンズというだけあって、普通です
ひろーく撮れる訳でもなく、遠くのものが大きく撮れる訳でもない。
ただどちらの特徴も薄いので、使い方次第でどちらのレンズとしても
(広く撮るにも、寄って撮るにも)活用できる、実は使いでのあるレンズです。
50mm単焦点レンズだけを持っていろんなものを撮影しようとするのも
なかなか創作意欲が湧いてきて楽しいものですよ。

また「入門用」として買うことを目しているのか、
50mm単焦点レンズは比較的安く入手できます。

画角ごとの写り方の比較

ということで、広角・標準・望遠の3つのカテゴリがあって、
それぞれ広く撮れたり大きく撮れたりする以外にも効果があるよと書きましたが、
実際の写真を見てもらうのが一番早いと思うんです。

てことで、撮ってみました。

撮影位置を変えずに焦点距離だけ変えて比較

同じ位置からレンズの焦点距離だけを変えて、遠くに置いた被写体(カメラ)を狙って撮影しました。
焦点距離が短いほど画面が広く、被写体が小さく写り、
焦点距離が長いほど画面が狭く、被写体が大きく写ります。

GIFアニメも作ってみた。

ぐんぐんと被写体が大きく見えるのが分かるかと思います。

被写体のサイズを変えずに焦点距離だけ変えて比較

ここで勘の良い方なら気づいたかも知れませんが、

  • 望遠レンズで遠くから被写体を写す
  • 広角レンズで近づいて被写体を写す

被写体の大きさが同じくらいになるとき、どういう違いが出るでしょうか

というわけで、今度は被写体の大きさが大体同じになるように距離を変えながら
それぞれの焦点距離で撮影してみました。

被写体そのものの写りは大差ないように見えますが、周りのものに注目してみてください。
焦点距離が伸びるほど、写り込んでいる背景の範囲が狭くなっているのが分かりますか?
またボケの量も増えていますね。

これもGIFアニメ作ってみました。

つまり、望遠レンズで遠くのものを大きく写すのと、
広角レンズで近づいて大きく写すのでは、写り方が変わってくるんですね。

ズームレンズを使っているとついついレンズの調整だけで撮影しがちなのですが、
被写体との距離や、背景の写り込みも意識しながら撮影すると、
より綺麗な写真を撮影することができます。

その他のレンズ

広角・標準・望遠という分け方以外にも、特徴を持ったレンズの種類があります。

マクロレンズ

マクロレンズは撮りたい物に極限まで近づいて撮影できるレンズ。
通常のレンズが30cm~1mくらいまでしか近づけないのに対して、
レンズが被写体につきそうなほど近くまで寄って撮影できます。
その結果顕微鏡で見たような小さな世界の様子を細かく写し取ることができるんです。

とは言っても近くのものしか撮れない訳ではなくて、
通常のレンズと同じように遠くのものを撮影することももちろん可能です。
1本持っていると便利かも知れない。

マクロレンズ(Canon EF50mm F2.5 Compact Macro)で撮った写真

魚眼レンズ

魚眼レンズはおもしろい写真を簡単に撮れるレンズです。
画面の端にあるものがぐにゃっと歪んで写ります。
無理やり画面の中に何でも詰め込んでいるようになって、
なかなかにカオスな写真が撮れます。

魚眼レンズ(Samyang 7.5mm F3.5 Fish-eye)で撮影した写真

広角レンズより更に広角なので、歪みを後で補正することにして
超広角レンズの代わりに使うという人もいます。

いろんなレンズがありますね

さて、交換レンズ選びに際してまだまだ書くことはあるのですが、
とっても長くなりそうなので、今回はひとまずこの辺にしておきます。

次回、実際に交換レンズを選ぶ時にどういうところを見たら良いのか、
またカメラによってどういう違いが出るのか……なんていう話をする予定。

それでは、かしまさでした。