決定的瞬間は狙うものではなく集めるものです。

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決定的瞬間
報道カメラマンでなくても、写真を撮るのが好きな人、得意な人なら
一度はそんな瞬間に立ち会って、激写したいと思ったことがあるはずです。
……ない? だとしても「決定的瞬間」という言葉は聞いたことはあるんじゃないですか?

「決定的瞬間」というフレーズ

「決定的瞬間」という言葉は、20世紀を代表する写真家の一人
アンリ・カルティエ=ブレッソンの写真集に付けられた英語タイトル
「The Decisive Moment」が発祥です。
ブレッソンはフランス人なので元のタイトルはフランス語なのですが、
「決定的瞬間」とはどうやっても訳せないものらしい。

それはさておき、英語版が日本に入ってきて「決定的瞬間」という邦題が付けられたわけで
タイトルのインパクトがすごかったのは間違いないでしょうね。
アンリ・カルティエ=ブレッソンという名前を知らない人でも、
一般名詞化した決定的瞬間という言葉はごく当たり前に使っています。
Google画像検索で「決定的瞬間」と検索すると「おぉ!」という写真がいっぱいHITします。

報道写真よりもどちらかといえば「ネタ画像」的な写真が多いね……でも見てて飽きない。

決定的瞬間の撮り方

おもわず唸ってしまうような完璧なタイミングで撮影できた写真。
撮れた瞬間に「よしっ!」と小躍りしたくなるような写真。
「ねえ見て見て! すごいでしょこれ!」とつい自慢したくなるような写真。
SNSで「いいね!」が怒濤の勢いで増えていく写真。

決定的瞬間は人それぞれだと思いますが、だいたいこんな感じでしょうか。
では、どうやったらそんな写真を撮れるのか――

決定的瞬間を狙わないことです

狙った瞬間に逃げていく、そんなひねくれ野郎なんですよヤツは。

その1枚のうしろには……

「これが決定的瞬間です!」と完成品だけを提示されているのでつい見落としがちですが、
撮影者がその現場で撮った写真は多分、1枚だけじゃないです。
高速連写でバババババッとしたり、条件を変えたりしながら
何十枚も何百枚も撮った中に「これは!」という大成功のものがあったと考える方が自然ですね。

下手な鉄砲も数打ちゃ当たる、ということではない。
プロカメラマンがモデル撮影をするときも同じようなポーズで複数枚撮影したりしていますが、
それはカメラマンが下手だからなのではなくて、
設定や光の当て方をいろいろ変えてみて、どれがベストかを探っているためです。
実際に撮ってみないと現場ではどれがベストなのか分かりにくいので、いろいろ撮るんです。

会社で写真を撮る仕事をいきなり頼まれたときに、ライトを調整したりいろいろ試行錯誤してたら
プロなんだから一発で撮れ!」と怒られたことがあります……^^;
いや、一発で撮れたらもうプロっていうか、神ですよ

それ以前に、かしまさはプロカメラマンでさえないっつうの。

日々の積み重ねの先

ステージで圧倒的なパフォーマンスを見せるミュージシャンが、ステージ以外でしていることは何か?
新しい楽曲の制作……もやっているとは思いますが、必ず練習をしますよね。
練習をしないでいきなり本番に臨むことなんてプロだって無理です。
俺は練習なんてしないぜ! という熟練のプロも
長年の経験があるからそんなことが言えるわけで、今まで全く練習したことがないわけじゃない。

写真撮影も同じなんですよね。
普段から写真を撮影する習慣がないと、決定的瞬間の撮影には臨めないんです。
決定的瞬間を撮ろうと思ったら、それ以外の瞬間でもどんどん撮っていきましょう
幸いにも? デジタルカメラは何枚撮っても現像代がかかりません。
フィルム時代だったら何百枚分も消費できるのはプロだけでしたが、
それ以上にシャッターを切れる訳ですから、プロでなくても撮れるはずです。
撮ったものの中から後で選ぶ。選べないよりは多すぎる方がいいに決まっています。

撮りたい時に限って「ない」

ある写真の中から後で選べばいい、
つまり、撮ろうと思ったらいつでも出せるカメラを持っていることが非常に重要です。
カメラを持っていなくて撮影できないのは選ぶ以前の問題です。
撮りたいと思ったときにすぐ出せるようにカメラを常に持ち歩く。
だから「いいカメラ」って必ずしも性能のいいカメラのことじゃないですよ。

The best camera, is the one that you have with you!

Chase Jarvis

「あんたがいつも持ち歩いてるそのカメラが一番いいカメラだよ!」という
アメリカの写真家チェイス・ジャーヴィスの名言。
そういう意味でスマホカメラは本当にいいカメラです。

撮ろう、たくさん。無駄打ち上等。
いい写真が撮れたかどうかは後になってから分かることの方が多いです。

ついでにもう一つ写真家の言葉。これも好きなんですよ、いい言葉だなぁ。

Everyone will take one great picture, I’ve done better because I’ve taken two.

— David Bailey

こちらはイギリスの写真家、デヴィッド・ベイリーの名言。
「みんな最高の1枚を撮ろうとするけど、2枚撮ったから俺のが上だ」

……じゃ、3枚撮れば逆転だ!(←そういうことじゃねえ

それでは皆さんも、
決定的瞬間を狙うのではなく、集めていきましょう。
かしまさでした。