How to FILM 【フィルム現像編】その2 – 現像前の準備
【約 17 分で読める記事です】
前回の記事で、フィルムの自家現像に必要なものについて紹介しましたが、
今回は現像作業の下準備について説明します。
具体的には、
- 薬品を準備して
- フィルムを入れ物から出して
- 現像用のリールに巻き取り
- タンクに収める
という作業です。
撮り終えたフィルムをカメラから取り出すところまでは終わっているという前提で。
注意することはただ一つ
フィルムを絶対に光に当てない!
前回も書きましたがかしまさはかなりいい加減にやっています。
それでもちゃんと画が出ていますので、
ここさえ厳守しておけば失敗することはないはずです。
では早速、実際の手順に取りかかります。
薬品の準備
まずは現像作業に必要な薬品類を準備しておきましょう。
現像タンクの大きさなどで必要な薬品の量は変わりますが、
フィルムが2本同時に現像できるプラスチックタンクを使うなら
とりあえず全部1L分作っておくと便利です。計算が楽だし。
濃縮液のものは指示通りの濃度になるように水で薄めます。
例えば、前回紹介した停止液(ILFOSTOP)は1+19希釈とあります。
原液が1に対して水が19なので、1L作ろうとすると
原液50mLに対して水が950mLです。
粉タイプのものはお湯を沸かして少しずつ溶かしていきます。
例えば、KodakのD-76を使う場合は、50℃くらいのお湯を800ml沸かします。
「ちょっとお風呂にしては熱いな」くらいの温度になってればOKです。
料理を作るわけじゃないので沸かしているお湯に指を突っ込んでも全く問題なしw
沸いたら1Lくらいの計量カップに移して、粉を少しずつ入れながら
マドラーなどでかき混ぜて溶かしていきます。
一気に入れてしまうと溶けにくいので少しずつ入れましょう。
粉が全部溶けたら水を足して全部で1Lにして、完成です。
可能なら前日にやりましょう
濃縮液はまだいいんです。現像の直前に薄めても間に合いますから。
でも、粉タイプのものはできるだけ前日に用意しておくことをおすすめします。
というのも、大体の薬品は20℃くらいの温度にして使うことを想定しています。
お湯に溶かしているわけですから、できたてのものは冷めるまで待たないといけません……。
それに、溶けた薬品が安定するまで少し寝かせた方がいいという人もいます。
「よーし、明日はフィルム現像するぞ!」と思い立ったら、
その日のうちに粉を溶かしましょう。そして次の日に忘れないこと。w
個人的にはフィルム現像で一番めんどくさい作業だと思っています。
ただ、一度作っておけばしばらく使い回しできるし、毎回やる訳じゃないのでね。
フィルムのベロ(リーダー)出し・下処理
薬品を用意したらいよいよフィルムの準備をします。
さてそのフィルムですが、カメラから取り出す前の巻き戻しで、
リーダー(先端の細いところ)を含めて全て巻き込んでしまってますよね。
これではフィルムを出せないので、先端を引っ張り出します。
そこで使用するのが「フィルムピッカー」。
これをフィルムに差し込んで、
レバーをスライドして、軸を回し……
抜き取ると、フィルムの先端が出てきます!
なかなか文字で使い方を説明するのは難しいのですが、便利な道具です。
ぜひお手持ちのフィルムで実践してみてください。気持ちいいです。w
先端が取り出せたらリールに巻き取っていくわけですが、
細くなっているベロのところは巻き取るときに邪魔になるので、切ってしまいます。
切り口をまっすぐにしたら、いよいよ現像タンク・リールの登場です。
リールに巻き取る
充分に練習しましょう
ここからは、ダークバッグ内で手探り作業をしなければいけません。
実は、自家現像最大の難所だったりします。
いらないフィルムなどを用意して、最初は目でよく確認しながら、
次に手元を見ないでできるように充分に練習しましょう。
ぶっつけ本番では、折角撮った写真が無駄になってしまうかもしれません。
いらないフィルムはヤフオクやメルカリなどで「期限切れフィルム」と検索すると結構出てきます。
新品を1本無駄にするのも勇気いりますからね……フィルム高いもん。
kashimasaが使っているステンレスのタンクとリールで説明します。
ダークバッグに必要なものを入れて、ファスナーを閉じます。
(ベロだししたフィルム、タンク、タンクの蓋、リール、はさみ)
一度フィルムを引き出してしまうと途中で開けられません。
必要なものが全て揃っていることをよく確認してから作業を始めましょう。
↓↓↓ここからダークバッグ内で手探り作業↓↓↓
ダークバッグの袖のような部分から両手を突っ込んで、フィルムとリールを掴みます。
リールの渦巻きが数字の「6」を描く向きであることを触って確かめておきましょう。
逆に持ってしまうと巻けません。
リールの最内周にあるフィルム差し込み口に、フィルムを差し込んでいきます。
乳剤面(つるつるしていない方)が内側になるように差し込みます。
フィルムが差し込めたら、左手に現像リール、右手にパトローネを持って、
フィルムを引き出しながらシュッシュッとリールに巻き取っていきます。
時々リールに巻き取ったフィルムを引っ張ってみて、
きちんと巻き取れているかを確認しましょう。
正常に巻けていれば、キコキコと前後に動かすことができます。
フィルムを引っ張っても全く動かないような感触の時は、
フィルムがリールのガイドから「脱線」している可能性があります。
そんな時は落ち着いて、少し戻ってからもう一度巻き直しましょう。
フィルムがもう引き出せなくなったら巻き終わりなので、
はさみで入れ物(パトローネ)を切り離します。
切り離す際は、パトローネの先から1cmくらいのところを切るようにしましょう。
あまりギリギリを切るとフィルム出口のケバケバまで切ってしまいますし、
あんまり長く切ると最後のコマまで切ってしまう可能性があります。
しかしそれよりも大事なことはケガしないこと。w
そして余計な部分(ダークバッグの中身とか)を切らないことです。
手探りで刃物を使うので充分に気をつけましょう。
パトローネを切り離したら、少し残った部分までリールに巻き取ります。
プラスチックタンクなら巻き取りも簡単
初めての人にはプラスチックタンクの方が簡単かもしれませんね。
リールの最外周部分にフィルムを差し込んで、
両手でカシャカシャやるだけで簡単に巻き取ることができます。
手探りでも想定外の事態が起きにくいし、巻き取りも速いです。
動画で巻き取るところを収録したら分かりやすいかな……あとで追加するつもり。
慌てず焦らず冷静に
どちらのタンクを選ぶにしても、大切なことは落ち着いて作業をすることです。
「あれ、なんかおかしいぞ?!」と焦りだすと手汗のせいでかえって作業がやりにくくなります。
手元が見える状態で充分にシミュレーションを積んでおきましょう。
ダークバッグは光を完全シャットアウトするくらいですから通気性も皆無です。
無駄に汗をかかずにサクッと作業できるようになっておきましょうね。
特に夏なんかは時間との勝負です。w
一山越えたら最終確認も忘れない
無事にフィルムを巻き取れたらリールをタンクに収めて、タンクの蓋をしっかり閉め、
そしたら腕を開放してダークバッグを開けてもOKです。
開けてみたらリールがタンクの外にある……ということではテンションDOWNですので、
確実にタンクの中に入っていることを確認してからダークバッグを開けましょう。
↑↑↑ここまでダークバッグ内で手探り作業↑↑↑
ダークバッグから現像タンク(リール入り)、はさみ、パトローネなどを取り出します。
最初に入れたものが行方不明になっていないか一応確認しましょう。
間違ってタンクを開けないように「フィルム入り」が分かるようにしておくと安全です。
特に家族がいる人。
これで下準備が完了です! いつでも現像作業ができるようになりました!
次回ようやく「本番」になります。
それでは、かしまさでした。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません