文系男子だけど黒死病修理できたよ! ……失敗しないための心がけなどメモしておきます

2024年8月31日

【約 18 分で読める記事です】

騙しだまし使ってたんですけど、やっぱり悪化してきました……。

工学部どころか理系でもないkashimasaでも修理ができましたので、
今回は自分なりに大事だと思ったことをまとめておこうと思います。
私は難しくないと思いましたが、ご自身で試す際はくれぐれも自己責任で。念のため。

前回までのあらすじ

あらすじっていう訳でもないですが、
如何にしてkashiamsaが自力修理を決断するに至ったか。

前回記事でどうやらバッテリーの電圧が黒死病のトリガーらしいと
判明したので、おとなしくエネループでK-30を使ってたんです。
しかし、一度発症させてしまうと発症しやすくなるのか、
1枚目が暗く写っても2枚目の写真は元に戻るので
空シャッター1回ならまあいいやと思っていました。

もし黒死病になっていないK-30をお持ちで、
専用バッテリーやリチウム乾電池を使わずに
今までやってきた方がいらっしゃいましたら、今後もそのまま維持してください。
何かの拍子にそういう電池を使うと一発で発症する可能性があります。

それがやがて1回では戻らなくなり、
プレビューボタンの連打を代わりに使うようになるのですが、
kashiamsaは絞り開放を使うことが多くて、
その為だけに絞り込むのも面倒なので、
ライブビューボタンで代用していました。

ライブビューボタンを使うと絞りが正常に動くようになったかが
露出の数字を見て確認できるのも地味に便利。
しかし、空シャッター1回で済んでいたものが
ライブビューボタン5回でも戻らないことがあったりして、
毎回それをやってるんじゃシャッターチャンスを往々にして逃すわけです。
それでもまだ軽傷なのかもしれませんけどね。

最近何にでも興味を示す息子(1歳10ヶ月)がカシャカシャに反応して
「なんだそのおもちゃ寄越せコラ」とばかりに寄ってきちゃったりなんかして。

なんて言っているうちに例の部品が入手できましたもので、
意を決して自力で修理を行いました。
結果は……多分成功。そして思ったより全然簡単だった。

事前準備

イメトレを万全に行う

先人たちによる修理の実績がネット上に豊富に公開されていますので、
まずはそれらを熟読し、作業の大まかな流れをしっかりと頭に入れましょう。

海外のPENTAXForums内にある黒死病修理マニュアル。完全網羅
ここに書いてある通りにやればまず失敗はしないです。
ただし全部英語で書いてあるので、Google翻訳を使ったり、
このページを元に修理を行った日本語の記事も併せて読んだりして、
内容をきちんと把握しましょう。


K-S1の修理ですが、こちらのページも参考にさせていただきました。

あとはYouTubeにも、分解する様子を解説する動画がありますので、
そういうのも見ておきましょう。

大まかにまとめると、修理工程はこんな感じです。

  1. (古いカメラから正常動作している部品を摘出する) ←部品だけで入手できれば不要
  2. K-30のネジを外す
  3. 底部、軍艦部、フロントの順にカバーを外す
  4. 問題の部品を交換する
  5. カバーを先ほどと逆の順番で付け直す
  6. 一応、試写してみましょう
  7. ネジを元通り締めなおす

自分でもできるかなぁと不安に思いながら始めましたが、
やってみると30分ほどで全ての作業が完了しました。

用意するもの

意を決して修理をすると決めたら必要なものを入手していきます。

黒死病のK-30

用意するというか、全ての始まりですね。

正常動作するソレノイドプランジャー

MZ-50から回収したソレノイドプランジャー(ピンボケですみません)

黒死病を引き起こす原因とされている例のパーツ。
PENTAXのカメラにはフィルム時代から使われているので、
そういう昔のフィルム一眼レフから回収してくると良いみたいです。
今回はMZ-50という機種のジャンクを入手できたので、
それを分解、回収しました。

MZ-50の分解については↑のヨッシーハイムさんのページが大変参考になります。

この部品を丸ごと交換するのが常道ではありますが、
ズボラな私はこのうちの刺さっている金属パーツだけを交換しました。
このパーツが磁化されてしまうのが原因ということだったので、
磁化されにくい昔の材質のものならここだけでいいんじゃね? と思いまして。
再発するようならまた修理をする予定です。

ちなみに、ペンタックスのフィルムカメラ(MZ-なんとか)なら
何でもこの部品が入っている訳ではなく、製造時期によっては違う形のことがあります
MZ-5やMZ-10のパーツは交換品として使用できないので注意しましょう
(一度間違えて購入しましたw ただのゴミw)

また、AliExpressでこの部品がバラで売られていますが、
これはカメラ用ではなく、黒死病が悪化するので買わない方がいいそうです。

ドライバー

いわゆる精密ドライバー。00番のプラスドライバーがあればOKです。
100均でも買えますが、電池ボックスの奥にあるネジを外す必要がありますので、
こういう長めのものの方が便利です。

ピンセットやスティックのり

外したネジをつまむのに使います。
緩んでいるのに取れないネジは、ドライバーの先に
少しだけスティックのりを付けて押しつけると持ち上がります。

ネジマップ

これとても重要。

外したネジを元の穴に戻すため、そしてなくさないためにも
必ず作っておきましょう。

まず↓の画像をダウンロードし、A4サイズで印刷します。
クリックするとフルサイズになります。

PentaxForumにあった画像を1枚にまとめたものです

それを段ボールなどに貼り付け、ネジの位置(矢印があるところ)に
ドライバーで穴を空けておきます。
外したネジは画像の対応する部分に刺しておけば、
なくさないし、間違えないし、忘れません。
必ず用意しましょう

余談ですが、kashimasaのK-30はラバーの下に隠れているはずのネジが
3本とも最初からありませんでした……びっくり。
前の持ち主の人が何かいじろうとしたのかな?

kashimasaのようにズボラに修理するならこれだけでできますが、
きちんとソレノイドプランジャー全体を交換したい人は、
はんだごてを使って配線の脱着を行う必要があります。

いうて導線2本だけなんですけども。
kashimasaは確実に変なところを溶かす自信があったのでこれはパスしました。w

レッツ修理

用意が整ったら早速作業していきましょう。

とはいっても既に修理の工程は詳しく説明してくださっている人が大勢いますので、
kashimasaからは「慣れてる人からすれば当たり前かもしれない」注意点をいくつか挙げておきます。

ドライバーは押しが7割

ドライバーでネジを外すときは回すよりも押しつけることを心がけましょう。
押し7割、回し3割という原則があります。意外に知られてないんですけど。

ドライバーとネジ山をぐっと噛み合わせて、最初はゆっくり力を込めるようにすると
だんだんネジが回りますので、そこで初めて回す作業に移ります。
最初から無理に回そうとするとネジ山をなめる(壊す)原因になり、
ネジが取れないので修理も不可能になってしまいます。気をつけましょう。

↑にリンクを掲載したドライバーは赤い部分だけが回るので、
掌を使って押しつけながら指だけで回すことができて便利でした。

高電圧部品に注意

フロントカバーを外すと、左手のグリップの中に
コンデンサーという部品が入っています。
これはフラッシュを光らせる時の電気を溜めておく役割の部品なので、
高電圧でバチッとなる危険性があります。絶対に触らないでください
修理が不可能になるどころか命の危険もありえます。

黒い乾電池みたいなのがコンデンサー。

コンデンサーそのものよりも、コンデンサーから伸びている配線
(水色とかの導線)のあたりを触るのがヤバいそうです。
この状態は問題の部品が見えてきた最終局面だと思いますが、
ソレノイドプランジャーのネジを外すことに集中しすぎると
うっかりと触ってしまいそうなので、十分注意してください。

修理を始める前にフラッシュをチャージしてしまうと高電圧になってしまいます。
電池を外して、1日くらい置いておくと電気が抜けるようですので、
心配な方はフラッシュを使わないままで電池を外し、
しばらく放置しておくと良いかもしれません。

カバーを外すときは慎重に

問題の部品にアクセスするには底面、軍艦部、フロントの3カ所のカバーを外す必要がありますが、
いずれもエイヤッと引っ張らずに慎重に外すようにしましょう。
戻すときに先に差し込む必要がある部分があったり、
軍艦部などは配線がつながったままなので、断線したりする危険性があります。
フロントカバーはMFとAFの切り替えスイッチの噛み合わせがズレやすいので、
組み立てる時はきちんと噛み合っていることを確認しましょう。

これからも大切に使っていこうと思います

僕が噂のソレノイドプランジャーでーす

なんとかなったようで本当によかった。
K-30の「ほのか」で子供を撮ると本当にエモい写りするんですよね。
これからも息子との散歩に持って行くカメラとして活躍してもらいたいと思います。

最近は35mm F2.4のレンズを付けっぱなしにしています。コスパ大変良き。

もしかしたらもしかすると知れない場合

完全に問題の部品を交換した訳ではないので
まだ再発の可能性は0%ではないわけで。
そういう場合に備えてちょっとした考察とか、憶測とか。

kashimasaのK-30既に修理されてた説

まったく確証のない憶測、その1。
だって、ラバーの下のネジ3本ともなかったよ?
誰かが開けたか、少なくとも開けようとはしたよね。

それと問題の部品のうち、刺さっている方の形が
MZ-50から摘出したものとK-30に使われているものだと
ちょっとだけ違うらしいのですが、どう見ても同じに見えました。
kashiamsaの目が節穴なだけかもしれませんが、
前オーナーも既に黒死病を自力で修理していた可能性があります。
(kashiamsaと同じくズボラな方法で)

この方法だと全ての元凶である超強力磁石がそのままなので、
結局時間が経てば黒死病になってしまうのかも知れない。
あるいは黒死病がヤバいと気づいたPENTAXが途中で改良したので
磁石のサイズはバリエーションがあるようで、
モノによっては黒死病の防止に成功していたり、いなかったり、
あるいは冒頭に書いたように電池の種類がトリガーになったり。

あ、全部根拠のない憶測ですからね。
検証するとしたらまた黒死病が出たときです。
出なかったら良かったねーでHAPPY ENDです。そうであってほしい。

それでは。
中学の技術家庭は割と得意だった、kashimasaでしたー。