How to FILM 【フィルム現像編】その3 – いざ、現像処理スタート!
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もう既にヤマは超えている
準備が完了したところで、今回いよいよ現像本番を説明していきます!
ざっくり説明すると、薬品をタンクに入れたり出したりします。それだけです。
リール巻き取りよりも全然簡単な作業ですので、
あまり気を張らずにリラックスしてやりましょう。
慣れてくると酒飲みながらでもできるようになります。
ただ、そうは言っても薬品を扱いますので、最低限の注意は必要です。
- 使う順番を間違えない。(画像が消えます)
- こぼさない。(テンションが下がります)
- それぞれを混ぜない。(使えなくなります)
- 目や口に入れない。(最悪死にます)
- 他の家族の迷惑にならないように保管を行う。(家庭内でハブられます)
大学の研究室レベルまで慎重になる必要はありませんが、
小学校の理科の実験くらいには気をつけておきましょう。
現像条件を調べる
まず現像処理の時間と温度を調べます。
現像液とフィルムによって組み合わせは数え切れないほどありますし、
撮ったときの設定や表現意図によっても少しずつ変わってきます。
とりあえず、最初は書いてあるとおりにやってみましょう。
Massive Dev Chartという便利なサイトがあります。
フィルムと現像液の組み合わせで、現像処理の時間、現像液の温度を簡単に調べられます。
スマホ用アプリも出ていて、設定を調べた後そのままタイマーとして使えるので便利です。
今回は例として、ISO400で撮影したKodakの400TX(トライX)を
D-76の1+1希釈で現像する場合を例にします。
希釈現像とは、その名の通り現像液を薄めて使う現像のやり方です。
薄めることで現像液の能力が低くなって、一度現像に使ったら再利用ができません。
ただ、原液をそのまま繰り返し使うよりも、いつも同じ条件で現像できるので
処理ごとにばらつきが生じるのを防ぐことが出来ます。
要するに、希釈現像の方が間違いないよ、って話です。w
検索するとこのような設定が出てきました。
フィルムも現像液も王道の組み合わせですのでたくさんの候補が出てきました。
まず、今回はISO400で撮影したフィルムなので、「ASA/ISO」が400のところを見ます。
ちょうど真ん中あたりに出ていますね。
次に、1+1の希釈現像をするので、「Dilution(希釈)」の欄が1+1のところを見ます。
ちなみにstockは原液で使用する場合です。
すると、候補が2つに絞られます。
赤で囲んだ2つ、違うのは「Temp(温度)」が20℃と27℃になっています。
20℃なら9.75分(=9分45秒)、27℃なら6.5分(6分30秒)とのことですので、
より短い時間で済む27℃の方が良いように思われますが、20℃を選んでおきましょう。
現像液は基本的に20℃で使うことを前提に作られているので、
特別な意図がなければ20℃を選んでおいて間違いありません。
というわけで、今回は、20℃で9分45秒現像処理をすればいいことが分かりました。
27℃でもできるって書いてあるやろがい、と思っちゃうところですが、
厳密なことを言えば微妙に仕上がり具合が変わります。ものすごく微妙に。
出てくる時間はだいたいの場合7~12分くらいかと思います。
ただ、あまりにも長いと飽きますので、
そういう時は20℃以上の条件を選んでいいと思います。
ついに「現像」スタート!
お待たせしました。いよいよ本番です!
薬品のセッティング
現像がやりやすいように、すぐ使える状態にして順番に並べておきます。
保存容器に分かりやすく「現像液」「停止液」「定着液」などと書いておくと確実ですね。
また、使う前に温度を確認して、20℃前後になっていることを確認しましょう。
希釈をするときは、水を20℃に調整しておけば楽です。
薬品① 現像液
現像液を計量カップなどに必要な分だけ用意して、タイマーをすぐ押せる状態にしておきます。
タンクの上蓋(小さい方)を開けて、現像液を静かに注ぎ込みます。
カップの現像液が全てタンクに入ったらタイマーをスタートさせます。
すぐに上蓋を閉めて、タンクを攪拌します。
攪拌といってもシャカシャカ振るのではなく、
静かにタンクを逆さにして、戻して……という方法(倒立攪拌)で行います。
逆さにしたときに蓋が外れないように、両手でしっかり押さえながら行いましょう。
最初の1分間は休みなく攪拌を続けます。休みなくといっても結構ゆっくり。
逆さ→戻すを1セットとして20セットくらいで大丈夫です。
Massive Dev Chartのアプリを使うと、攪拌のペースがアニメーションで表示されます。
1分経ったらタンクの角を洗面台の縁などにコンコンと当ててから平らな台の上に置きます。
このコンコンには、フィルム面に付いた気泡を取る意味があります。
気泡が付いたままのところがあると、現像液と触れないので反応せず残ってしまいます。
1分経ったら3回くらい(約10秒)攪拌し、コンコンをやってからまた置きます。
このように10秒攪拌→50秒放置を規定時間まで繰り返していくんですね。
つまり作業時間の半分以上は待っているだけ。割とヒマです。w
残り時間が1分くらいになったら停止液を用意しておくと、スムーズに作業が進められます。
薬品② 停止液
規定の現像時間になったら蓋を開けて現像液を排出し、
全て現像液が出たら間髪入れずに停止液を流し込みます。(ここ大事!)
現像液を排出しても、フィルム面に残った現像液で反応が進むので、
ここでモタついてしまうと現像ムラが発生して、画像に変なシミなどが出てしまうんです。
だから停止液はすぐに使えるように用意しておきましょう。
停止液を注ぎ終わったら蓋をして、1分間の倒立攪拌を行います。
1分だけで終わりなのでコンコンは必要ありません。
時間が経ったら停止液をタンクから出して、保存ビンに戻します。
ここまで終われば、後はそんなにせかせかしなくても大丈夫です。
薬品③ 定着液
定着液を現像タンクに注ぎ込んで、タイマーをスタートします。
現像液と同じように、最初の1分間は連続攪拌、それ以降は1分単位で10秒攪拌→50秒放置です。
やっぱりヒマなので、使わない道具とかの片付けでも進めておきましょう。
だいたい3分~5分くらい処理したら排出、そして保存ビンに戻す。
大体この辺の流れは共通です。
予備水洗
定着液を排出したら現像タンクの蓋(でかい方)をいよいよ外します。
リールからフィルムを少し引き出して現像できているか確認します。
透き通ったベースに黒い画像が出ていたら大成功。何回やってもこの瞬間はたまらない。w
この時に出てきたフィルムが微妙に半透明だったりしたら、定着がまだ完全ではありません。
そういう時は慌てず騒がず、もう一度定着液に浸けて攪拌すればOKです。
現像できているのが確認出来たらフィルムをリールに戻します。
リールに巻き取られたままのフィルムを軽く水洗い。
タンクに水を満たしてバシャーって3回くらいやれば良いと思う。
薬品④ 富士QW
フィルムの水洗は10分くらいかかるところを、
この富士QWに1分ほど浸けておくことで半分まで短縮できます。ぜひ買いましょう。
しかも100円しないっていうステキ加減です。
蓋を開けたままのタンクに注ぎ入れて1分放置すればOK。
きれいな水色で美味しそうですが間違っても飲まないでください。そんな奴いないか。
水洗
QWを使ったので5分間流水に晒しておけばいいのですが、
水を5分も出しっぱなしにするのが勿体ないという人もいることでしょう。
しかしIlfordのRapid Fixerを使用していれば、
以下のような方法でも水洗が可能とメーカーが公表しています。
・タンクに水を入れて5回倒立攪拌をする→水を捨てる
・タンクにまた水を入れて10回倒立攪拌をする→水を捨てる
・タンクに(ry)20回倒立攪拌をする→水を捨てる
タンク3杯分で済むので、5分出しっぱなしより大幅に水を節約できます。
不安な人は最後にもう1回20回の倒立攪拌をプラスしたり、
終わった後に軽く水ですすいでおけば完璧。
しかもこのやり方だと5分より速く水洗が完了する。おすすめですよ。
薬品⑤ ドライウェル
水洗が完了したところですが、最後にもう1種類薬品が出てきます。
これまた富士から出ているドライウェルというもので、水の表面張力をなくして乾燥中の水滴ムラを防ぐ作用があります。
説明書きによれば、規定の濃度に薄めた水溶液にフィルムを30秒~1分浸けておくらしいんですが、
めんどくさがりのkashimasaはいつも、
水を入れたタンクに数滴の原液を入れて指でリールをぐるぐるぐる……
などというものぐさな使い方をしております。
ドライウェルに浸ける時間は約30秒。
その間にフィルムクリップなどを用意して、最後の工程(乾燥)の準備をしておきます。
乾燥
いよいよ最後の工程です。
ドライウェルの液からリールを静かに持ち上げて、軽く振って水滴を落とします。
端を引き出してクリップを挟み、高い場所に引っかけたらリールを静かに下ろします。
最後まで引き出すとリールは自然に抜けますので、もう片方にもクリップを挟みます。
埃の少ない場所がお勧めです。お風呂とか。
タオル掛けるポールなんかにクリップ掛けられますし。
ところで、36枚撮りフィルムは長さにして1.5mくらいありますので、
かける場所は自分の顔の高さ以上にしておかないと、床にフィルムが付いてしまいます。
ま、お風呂のポールなら多分大丈夫じゃないかな。
あとは数時間放置します。
お風呂乾燥機が付いていれば1時間で済ませることも可能ですが、
フィルムに熱風が直接当たらないように、端っこに掛けましょう。
本来は一晩くらいじっくり乾燥させた方が良いみたいです。
言うまでもなくその間お風呂に入れませんので、他に家族がいる場合は皆寝た後とかにやりましょう。
これで現像処理は終了です。
慣れてくればフィルムの巻き取り~吊すまでで30~40分くらいでできるかと思います。
文字ばかりで説明してきてしまいましたが、
フィルムに画が出ていた瞬間の感動はひとしおですよ。
是非挑戦してみてください!
さて次回、現像処理が終わったフィルムの後処理まで説明して、いよいよ完結になります。
それでは、かしまさでした。
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